熊鈴
3日間・5回の現場を終えてアーティストを見送った足で、会津の友人夫婦のお宅に遊びに行かせてもらってきた。会津美里という、若松よりもさらに30分以上山間の地区。翌日も普通に仕事なのでかなり強行軍ではあったが、思い切っていってよかった。美しい田畑と森の香りにつつまれ、闇夜を舞う蛍と天の川を眺め、一気に別世界…
夕暮れに、のりさんが「晩ご飯が出来るまでの間、このあたりを散歩してきたら?」と鈴を持たせてくれた。熊よけの鈴、なのだ。
夕暮れ時と夜明けには、人里にも(それもこんなにあたたかい季節に)熊がおりてくるんだとか。「こんなに緑が豊かなのに、と思うかも知れないけど、これもしずかに森が崩壊している証拠なんだ」とのりさんはいう。
ちりんちりんと、静かに鳴り渡る鈴の音の美しさが、自分の身を守っているなんて、にわかに実感をもてないけど。
このあたりは縄文時代から人が住み、遺跡も出る場所だという。近所の熊野神社には、見落としてしまいそうなちいさなほこらがいくつかあった。(風が私を呼び止め、その存在を教えてくれた…不思議)
旦那さんののりさんがつくってくれたパスタは優しくていねいな味。滋味、とはこういうものをいうんだろうなあ… そして、まっすぐな会話をこんなにおだやかにすることができたのは、どれくらいぶりだったろう。上等なホテルにとまるよりもはるかにリラックスした時間だった。
いいごほうびをいただいた。


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