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自分のために奏でる音楽

このあいだ、数年来の友人と、音楽の話を肴に飲み明かしたときのこと。

家でひとり、バッハの「クラヴィーア曲集第1番」を弾くのが好きだ、という話をしてくれた。
誰かに聴かせるためではなく、自分のために弾くのだという。簡素で、美しい旋律に、自分で弾きながら思わず泣きそうになってしまう、と言っていた。
…何年もこうして、杯を傾けながら話をしているのに(相手はウーロン茶ですけど)、そんな話をしてくれるのは初めてで、びっくりしたけど、話しているそのそばから、その友人が奏でるバッハがきこえてくるようで、なんだかわたしまでうれしくて泣きそうになってしまった。

大学の民族音楽学の授業で、おとぎ話のような話をきいたことがある(ていうかおとぎ話のようにしか記憶できていないともいうが)。
それは、中国に伝わるちいさな一弦琴。けして大きな音を出すことなど出来ない、華奢なその楽器は、自分の精神修養のために弾く楽器なのだそうだ。
「自分のためだけに奏でる音楽、その響きはどんなものなんでしょうね」と教授は締めくくった。
数年後、仕事で出かけた台湾の故宮博物院で、そのレプリカとおぼしき楽器に遭遇し、興奮した。
一緒に行った人にその授業の話をしたら、
「自分のために奏でる音楽、宇宙に響きわたっているんだよ、きっと」
と返してくれた。

なんでこんなこと、突然書きたくなったのだろう。
でもきょうは、なんだか本当に久しぶりに心が静かな夜を過ごせている。(嵐の前の静けさか?)

内なる音楽に、耳をすましてみよう。

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Comments

お変わりありませんか。
今日(昨日?)は30度を超え、梅雨の終わりが近づくのを感じさせる天気でしたね。

『自分のためだけに奏でる音楽』ってすごいなぁ。
”自己満足=いけないこと”みたいに思っていたので、考えもしなかった…
まだまだ考えの幅が狭いですねぇ(~ヘ~;)

Posted by: お雪 | 2005.07.11 01:17 AM

こんにちは、寺内大輔です。
私も、ここ数年、「自分のために奏でる音楽」に興味を持っています。
手前味噌になりますが、以前そのような作品を作ったことがあります(「耳の音楽」という作品、詳しくは以下の記事をご覧ください)。

http://dterauchi.com/miminoongaku.html

一弦琴、弾いてみたいですね。

Posted by: 寺内大輔 | 2005.07.11 01:24 AM

「耳の音楽」、書き込みされてすぐによんでましたよ〜。 そして、「演奏」してみました!へへ。
貝を耳にあてると、海の音がするよ、とか。
自分の声とか、心臓の音とか、しーんとしたときにきこえる耳鳴りとか、そういうものに耳を澄ましていた子どもの時の自分を思い出して、なんかすごくなつかしいかんじがしました。

Posted by: ぺ | 2005.07.13 08:43 AM

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Tracked on 2006.01.12 06:07 AM

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